2026年7月
質問項目
1.奈良のシカの保護と管理について
奈良のシカの保護管理に関わる制度の枠組みについて質問いたしました。
近年、奈良のシカを巡っては、市民生活や農業への影響など様々な課題が指摘され、
市民の皆様からも多くのご意見が寄せられています。
しかし、その議論を進める上で最も重要なのは、現在の制度の中で、
国、奈良県、奈良市がそれぞれどのような権限と責任を担っているのかを
正しく理解することです。
本市では、「保護」は観光戦略課、「管理」は農政課が所管しています。
-
奈良のシカ保護管理の役割分担について
奈良のシカの保護管理について、保護管理計画の策定、頭数管理目標の設定、
捕獲方針など、保護管理に関する重要な事項について、
国、奈良県、奈良市は、それぞれどのような法令に基づき、
どのような権限と責任を有しているのか。
それぞれの役割分担について、制度全体が分かるよう整理してお聞きしました。 -
本市における各課の役割について
本市においては、「保護」と「管理」という二つの観点について、
観光戦略課と農政課が連携して対応されています。この二つの課が、それぞれどのような立場で、
どのような役割分担をしているのかについて、
観光経済部長に統括的な立場からお聞きしました。 -
奈良のシカ保護管理計画における本市の権限について
奈良県が保護管理計画の最終決定権を有していること、
そして本市の観光戦略課と農政課が相互に補完しながら
対応していることが分かりました。また、知事の諮問機関である「奈良のシカ保護管理計画検討委員会」において、
保護と管理の施策が検討されており、本市も参加しています。この検討委員会に本市はどのような立場で参画しているのか。
また、本市に保護や管理の方針を変更し、決定する権限があるのかを
お聞きしました。 -
シカの「管理」について
本市は、県の保護管理計画に基づいて現場対応を実行する立場に限定され、
検討委員会には事務局やオブザーバーとして参画していることが分かりました。そこで、こうした制度的な制約の中で、
本市が実際にどのような対策を実施しているのか。
また、実施したくても実施できない対策は何なのかについて、
「管理」を所管する農政課長にお聞きしました。農業や市民の生活環境を守るという重要な責務を、
どのような制度的制約の中で、
どのように実現しようとしているのかを質問しました。 -
鹿害対策に係る諸制度の改正等の必要性について
本市が被害防止対策に尽力している一方で、
保護管理制度や個体数管理そのものは、奈良県の権限となっています。市の被害防止対策がどれほど充実していても、
シカの個体数そのものが増加し続けているのであれば、
被害は減少しないのではないでしょうか。市民の皆様からの相談や苦情は増加傾向にあり、
農業被害、生活環境への影響、交通事故のリスクなど、
様々な問題が発生しています。
ここに、市民の声と、現行制度の中で市が実施できることとの
隔たりがあると考えます。夜間巡回の強化など、現場で実施可能な安全対策については、
引き続き不断の努力が必要です。
一方で、抜本的な対応と解決を図るためには、
現在の頭数管理や保護管理制度そのものの見直しが必要です。こうした制度の見直しは本市だけで実現できるものではなく、
奈良県や文化庁との協議、制度改正などが必要になるとの認識なのか、
観光経済部長にお聞きしました。 -
国や県への制度の見直し等を求めることについて
本市は、奈良のシカを巡る問題に対して、
これまで最大限の取組を重ねてきました。
一方で、本市には制度上の権限がないため、
市の努力だけでは解決できない課題が顕在化しています。長年にわたり、限られた権限の中で対応を続けてきたからこそ、
現在明らかになっているのは、本市の努力不足ではなく、
市だけでは解決できない制度上の課題ではないでしょうか。市の権限だけでは解決できない制度上の課題について、
奈良県や文化庁に対し、制度の見直しや必要な財政措置を
求めていくことが重要であると考えます。
この点について、本市の考えをお聞きしました。
意見
今回の質疑を通じて明らかになったことは、
奈良のシカを巡る課題は、現場の努力だけで解決できるものではなく、
制度そのものに起因する課題が本質的な問題であるということです。
奈良のシカの保護管理は、奈良県の保護管理計画に基づいて運用されており、
奈良市はその制度の枠組みの中で現場対応を担う立場であって、
制度そのものを変更する権限を有していないことも確認できました。
だからこそ、この問題を奈良市だけの課題として捉えるのではなく、
制度全体の課題として考えていく必要があります。
現場での取組を充実させることはもちろんですが、
制度上の課題については、市議会として奈良県や国、文化庁に対し、
必要な制度の見直しや財政支援を積極的に提言していくことが重要です。
奈良のシカという世界に誇る文化財を守ることと、
市民生活の安全・安心を守ることは、決して相反するものではありません。
それぞれが権限と責任に応じた役割を果たし、
奈良のシカの保護と市民生活の安全を両立できる制度の構築に向けて、
議会としても責任ある議論を重ねていく必要があると意見を申し上げました。
2.地蔵盆について
-
地域の伝統文化の継承について
旧市街地には、地域の方々によって今日まで受け継がれてきた
数多くの伝統行事があります。中でも地蔵盆は、子どもの健やかな成長を願い、
地域の絆を育んできた奈良の生活文化の一つであり、
夏の風物詩として多くの市民に親しまれています。奈良きたまち側では、急速な高齢化や担い手不足によって、
地域で守ってきたお地蔵様を寺院へお預けし、
地蔵盆の継続を断念せざるを得ない地域が出ています。
伝統文化の継承が困難になりつつある現状に直面しています。地域の伝統文化は、一度途絶えると、
その歴史や地域のつながりを取り戻すことは容易ではありません。
地域が主体であることは十分に承知していますが、
伝統文化を次世代へ引き継ぐためには、
行政としても支援を検討する必要があります。本市では、地域が守り続けてきた地蔵盆をはじめとする
伝統文化の継承に対して、今後どのような支援やサポートを
考えているのかをお聞きしました。 -
地域の伝統文化の継承と保存について
今後、急速に人口減少や高齢化が進む中で、
地蔵盆に限らず、地域に残る様々な伝統文化の継承も
難しくなることが予測されます。地域の文化は、歴史的建造物や史跡などの有形文化財だけではありません。
その地域に暮らす人々の営みを基盤として受け継がれてきた
無形の文化も、貴重な地域資産です。本市は、こうした地域固有の伝統文化について、
その実態の把握や記録保存、
さらには次世代への継承に向けた取組を
どのように進めていく考えなのかをお聞きしました。 -
地域の伝統文化を支える仕組みづくりについて
地域文化の継承は、一つの地域だけの課題ではなく、
歴史文化都市である奈良市全体で支えていくべき課題です。本市は、地域に残る伝統文化が消滅することを
どのように認識しているのか。また、地域だけに任せるのではなく、
市民への広報や情報発信など、
市全体で支えていく仕組みづくりについて、
どのように考えているのかをお聞きしました。 -
地域の伝統文化の継承に向けた支援について
本市は、地域の伝統文化の重要性を認識し、
現地の実情も把握しています。一方で、地域では担い手不足や高齢化が進み、
「あと数年続けられるか分からない」という切実な声もあります。今後は、危機感の共有にとどまらず、
継承に向けた具体的な支援が必要です。地域団体との継続的な意見交換、市民への周知、
学校や子どもたちの参加、担い手づくりなど、
本市として今後どのような支援を検討するのかをお聞きしました。 -
地域文化の継承に向けた庁内連携体制について
地域文化を守るためには、文化財部局だけでなく、
市民協働、教育、観光など、
様々な分野が連携していくことが重要です。今後、本市として地域文化の継承を支えるため、
庁内横断的な連携体制や、
地域と行政をつなぐコーディネート機能を
構築していく考えがあるのかをお聞きしました。
意見
今回の質疑を通じて、地域文化の継承が、
少子高齢化や担い手不足によって大きな転換点を迎えていること、
また、その課題認識については本市と共有できたものと受け止めています。
地蔵盆をはじめ、地域に受け継がれてきた伝統文化は、
単なる年中行事ではありません。
地域のつながりを育み、子どもたちが地域への愛着を育てる場であると同時に、
奈良らしさを支えてきた大切な地域資産です。
地域文化は一度途絶えてしまうと、
長い年月をかけて築かれた歴史や、
人と人とのつながりを元に戻すことは極めて困難です。
本日の答弁では、文化財行政としての取組に加え、
庁内横断的に連携していく必要性についても答弁がありました。
今回の課題認識を一過性のものとせず、
文化財、教育、市民協働、観光など、それぞれの分野が連携し、
「地域文化政策」として具体的な施策へ発展させていただくことを期待し、
意見といたしました。
3.観光案内所の運営体制について
-
観光案内所の運営状況と課題について
奈良市の観光案内所のうち、地域のボランティアによって運営されている施設に、
旧鍋屋交番きたまち案内所と、きたまち転害門観光案内所があります。これらの案内所は、施設の保存活用を目的として整備され、
その後、地域の関係者に運営を担っていただいてきたものと認識しています。現在、これらの観光案内所がどのような体制で運営されているのか。
また、利用状況や運営上の課題について、
本市がどのように把握しているのかをお聞きしました。 -
観光ボランティアへの支援について
これらの施設の運営は、地域のボランティアの方々の
ご尽力によって大きく支えられてきました。一方で、交通費を自己負担して通っている方もおられ、
高齢の方々も多い中で、活動時の安全面への配慮も必要です。また、これまで活動を支えてきたボランティアポイント制度が
2026年3月で廃止されたことにより、
現場にも一定の影響が出ているものと考えます。本市は、観光案内所の運営を支えているボランティアの方々の負担、
活動時の安全面、ボランティアポイント制度廃止後の影響について、
どのように認識しているのかをお聞きしました。 -
持続可能な観光案内所の運営について
今後も地域の善意やボランティアの力に支えられた運営を続けるのであれば、
その善意に頼るだけではなく、長く持続できる仕組みを
整える必要があります。本市は、現在の観光案内所の運営体制を、
今後も持続可能な仕組みであると考えているのか。
また、必要な支援策や運営方法の見直しについて、
どのように考えているのかをお聞きしました。 -
観光案内所の運営体制の見直しについて
現在、この二つの案内所では、人材不足、一部の方への過重な負担、
ボランティアの高齢化、活動時の安全面への配慮など、
運営体制に、いわば金属疲労のような課題が
生じているのではないかと感じています。本市として、こうした地域主体の観光案内所の運営について、
現状の延長ではなく、今後を見据えた体制整備や役割分担を
抜本的に見直す必要があると考えます。
この点について、本市の見解をお聞きしました。
意見
新たな運営手法を検討するとの答弁がありましたが、
課題は既に顕在化しています。
この二つの観光案内所は、行政が直接運営している施設ではなく、
地域の皆様が長年にわたり、自らの時間と労力を惜しまず
支えてくださっている施設です。
交通費を自己負担し、高齢になっても当番に立ち、
観光客を笑顔で迎え続けてこられました。
その積み重ねによって、奈良のおもてなしが守られ、
地域の歴史や文化、人とのつながりが今日まで築かれてきました。
一方で、担い手不足や高齢化、一部の方への負担の集中、
ボランティアポイント制度廃止の影響など、
これまでの仕組みだけでは支え続けることが難しい現状も明らかになりました。
地域の力を生かすことは大切ですが、
地域の善意を、無償で使い続けられる資源であると考えてはなりません。
善意には限りがあり、限界を迎えてから対応するのでは遅いということです。
今後は検討にとどまることなく、
ボランティアの皆様が安心して活動を続けられる環境づくりや、
新たな担い手の確保など、持続可能な運営体制の構築に向けた
具体的な施策を求め、意見といたしました。
以上の内容について質問しました。
詳細は、下記の動画をご覧ください。
