2016年開催のリオデジャネイロ五輪も選手や関係者の方々の努力で見事な成績を残し、終了することができました。連日、テレビにくぎ付けの毎日でしたが、朝 テレビをつけるたびに「今日は、金が何個、銀が何個、…」カウントする事には、少し閉口気味でいました。金であろうが、何色であろうが、スポーツの頂上で戦う選手の演技を見られる機会は、何にも比べられない素晴らしい時間だったと私には思えています。
8月末の新聞で、ある作家が次のようなコメントをしていました。
NHKで解説委員がオリンピック開催のメリットの最初に【国威発揚】が挙げられると紹介していたのは衝撃でした。
「日本がやりました」「日本が勝ちました」と言うけれども、日本が勝ったのではなく、勝ったのは選手であり、【参加することに意義がある】という五輪精神もいまや語られる事が無くなったと…そして、オリンピックの報道がやたらと「戦争」ぽかったと…
感想や感じ方は、人それぞれですが、言葉の裏に意図する意味や、背景はきちんと見ていないと怖い世の中になりつつあるのか?とここでも少し、身が引き締まりました。
9月2日より本会議が開会し、27日までの審議が始まります。内示会で、財政課より一般会計補正予算案(総額6億1079万円)の内訳の説明を受けましたが、この中には3月からの重要案件でありました新斎苑整備事業についての調査費用が計上されています。3月の本会議で、一旦立ち止まり、住民の不安の払拭や議会との調整を図るべきとの話を議会側は、してきたつもりですが、奈良市側はあくまでも現候補地に固執したまま、9月に予算計上をしてこられました。
新火葬場の建設候補地を市民の皆様に見て頂く機会を一度でも市側がして下されば、一目瞭然なのですが、何度も繰り返し、お伝えしておきたいのは、この候補地が
- 土砂災害警戒区域である事(橋梁部分)
- 土石流警戒区域である事
- 地盤沈下が周辺である事
- 推定活断層がある事
- 鉢伏街道に面し、交通問題が悪化する恐れがある事
- 盛土をする事で安全性の問題がある事
- 橋梁部分で高額な費用が発生する事
大きく上げても、これだけの問題点があり他にも細かい所を上げればきりがなく挙げられます。
住民サービスの重要な施設であるにもかかわらず、現実は移転や建て替えとなると、周辺住民の方だけの問題となり、【総論賛成】【各論反対】となります。
新火葬場の建設しかり、クリーンセンター建設しかりです。
3月以降、奈良市側は個別訪問、住民集会を繰り返しながら、最終的には【地域活性化対策案】を作成し、鹿野園自治会において提示されています。
【地域活性化対策案】
建物施設整備事業 ・集会所、消防ポンプ庫の移転新築工事
道路整備事業 ・鉢伏街道の拡幅工事、県道高畑山線までの道路新設工事、
・農業用水路の管理用道路整備、町内市道の側溝・水路工事
防災対策 ・上の池、新池の堤防補強等防災対策工事
・計画地西側山林の土石流防止対策措置工事
・地滑り他、土砂災害警戒区域の安全対策工事
まちづくり対策事業 ・町内の街路灯増設、防犯カメラの設置、不法投棄物の撤去
・町内の空き家の利活用策、バス乗りいれの増便
その他事業 ・定期販売車両の(食品他衣類など)の手配、鳥獣害対策事業
・春日病院までの下水道管の引き込み
イオンハウスまでの上下水道の引き込み
・風評被害への支援、助成、協力について補助事業の実施
失礼な言い方を承知で申しあげれば、これだけの餌を上げますから、言う事を聞いて下さい!ということです。
しかし、これだけの地域活性化事業なら市長の口だけでは通すことは出来ず、議会の承認も、また財源の確保も必要な事ですから、先に地元に署名入りで提示をする手法も含め、いったいいつになったら議会制民主主義を理解して頂けるのか、青ざめる思いでいます。
市長の頭の中で、どこかに突破口を開けば後はなし崩しになるとお考えなら住民無視も良いところですし、地域活性化の問題が平素に必要な施策として捉えているなら、火葬場の建設問題とは切り離すべきではないでしょうか。逆に言えば、平素から不安を抱えて暮らしている住民の皆様の思いと引き換えに出す、地域活性化対策案であっていいのか?という事です。
いずれにしましても 9月議会は私にとっても正念場です。精一杯、皆様から負託されている責任を果たしていきたいと思っています。残暑も厳しくなりそうですが、皆様 体調の変化に留意してお過ごしください。
奈良市議会
鍵田美智子