奈良市民の皆様
新年明けましておめでとうございます。
つつがなく新しい年を迎えられ、心よりお喜びを申しあげます。
羊年から、申年へとバトンが渡りました。
申という字は「樹木の果物が熟して固まっていく様子」を表したものだそうですが、自分の周りを見渡しても気が熟すようなことはあまりなく、今年もじっくり、焦らず落ち着いて、周りを見渡しながら進んでいければと考えています。
今年も皆様からのご指導、ご鞭撻を賜ればうれしく存じます。
今年の初めての思う事ですが…
少し、自分の事にも触れてみながら、話を進めてみようと思います。
私の誕生日は1月1日です。
物心がついた時から、誕生日でお祝いをしてもらった記憶がなく、日本中の皆様が「おめでとう」とお祝いを口にして祝っているのだから、良いではないかと家族から、はぐらかされていた記憶があります。
戦後70年が経ち、昭和の高度成長期に大きくなった私は、親の働く背中を見て大きくなりました。今 私が持つ価値観や信念の多くは 私の父親、夫の忠兵衛の生き様、考え方に負う所が多くあります。
夫と52歳まで一緒に生き、いつの時も私や家族を守ってきた夫がいなくなり、逆に私自身が家族を守り、様々な判断や決断をする立場になりました。国は、女性の社会進出や地位向上を唱えますが、現実はまだまだ遠いところにあります。
大変 生き辛い…… と私自身も日々感じて過ごしています。
生き方の多様性を認める方向に舵を切る流れがありながら、現実は夫婦別姓の司法判断等、矛盾した現実があり、世の中の不条理に翻弄されながら生きている方も多く見受けられます。
国は、地方創生や1億総活躍社会、女性が輝く社会などキラキラしたビッグネームのついた政策を打ち出されますが、地方の暮らしはもっと細やかで地に 足のついた政策の積み重ねで成立するべきであり、それが政治の役割であると考えます。
2014年に国が示した「まち・ひと・しごと戦略」で奈良市も昨年末に戦略を作りましたが、補助金の事業メニューは太陽光発電、新しいエネルギー事業等で、本来地方の活性化に必要なメニューである農業政策や、総務関係のメニューはごくわずかです。
地域や自治体が切磋琢磨し、競争、競争と補助金争奪戦に血眼になり 結果、 市民の皆様のニーズをどの様に捉えているのか? そこが一番問われている事になっていると感じています。
奈良市でもそうです。
市長は年頭挨拶で、「東アジア文化都市」の事業開催地に選ばれた事で、情報 発信を含む事業の意義を強く職員の皆様に求められ、併せて新斎苑移転建設に対して、突き進む覚悟を示されました。
日中韓の「東アジア文化都市」事業をどれだけの市民の方がご理解していただいて要るでしょうか?
現在の「新斎苑基本計画」の概要をどれだけ市民の皆様に説明をさせて頂いたでしょうか?
市民の皆様のニーズの捉え方や、政策の優先順位をしっかりつけながら限られた予算を市民の皆様の有益になる様、【選択と集中】をするように奈良市に対してチェックマンの役割を果たしていかなければなりません。
平成28~29年 奈良市は多方面で過渡期に入ります。 昨年10月 奈良市長はおもむろに行財政改革の重点取り組み項目を示され平成27年度~29年度までに次の事を実施することとされました。
・家庭系ごみ有料化
・施設使用料の見直し
・補助金の見直し
・公共施設の総量最適化
・新斎苑整備事業への民間活力の導入
等、他にも多岐にわたります。
皆様が今まで当たり前のように受けて来られた市民サービス事業に対しても しっかりとメスが入る事になりましたので、弱者の皆様には痛みが少なくなるよう必要な配慮をし、行政としての責任は全うするように意見をしていきたいと考えています。
私事ですが、1月から末娘が留学で1年間、奈良を留守にします。 母親業を少し横に置きながら、思う存分、仕事に集中しようと考えています。 働く母親としても、家に帰れば家事に追われて息つく暇もありませんでしたが、女性はたおやかで柳の様にどの方も芯が強くいらっしゃいます。 私もそんな一人として今年も黙々と頑張ろうと思います。
2016年が皆様にとりまして幸多き年となる事を心より祈念し、1年の ご挨拶とさせていただきます。
平成28年1月1日
奈良市議会議員
鍵田美智子